Tuesday, October 10, 2023 4:49 AM

ヴォクセル、現場の安全性を機械視認で向上

 国際労働機関(International Labour Organization=ILO)は、毎年3億4000万件の職場事故が起きていると見積もっている。新興企業のヴォクセル(Voxel、サンフランシスコ拠点)は、機械視認(computer vision)技術によってそれを減らそうとしている。

 テッククランチ誌によると、産業現場の安全性を高めるために機械視認技術を提供する会社は昨今、増えている。ヴォクセルと競合社らとのおもな違いは、同社製品が既存の監視カメラと統合可能という点だ。導入側はそのため、追加投資を抑えることができる。

 同社の人工知能は、たとえば車両同士のニアミスや接触事故、衝突、フォークリフトの速度出しすぎ、死角の物体、出入り口のふさがり、作業員らの危険な動作、危険物質の露出といった危険要因を監視カメラ映像から正確に特定し、現場の担当者らに即時通知する。

 同社のシステムをすでに採用したおもな会社には、PPGインダストリース(PPG Industries)やクロロックス(Clorox)、オフィス・ディーポ(Office Depot)、マイケルズ(Michael’s)がある。

 ヴォクセルは、倉庫業や小売業、製造業、エネルギーを含め、現場作業に危険がともなう業界を標的市場と位置づけている。

 同社を立ち上げたアレックス・セネマーCEOによると、多くの現場ではいまだに手作業による監督や抜き打ち検査、事後報告に頼っている。さらに、事故にいたらないニアミスは非常に多く、それらは報告されないため、問題点の認識や再発防止策の決定や実行の意識も弱い。

 同氏はそのため、リアルタイムでの問題特定と動画での安全指導が必要という考えから、人工知能と機械視認を統合し、各現場の監視カメラと連携するシステムを開発した。同社の人工知能は、危険な場面を特定して報告するほか、改善策の立案と実行に必要な分析機能もそなえる。

 また、同社のシステムは、個人を特定しないよう設計されていることから、プライバシー保護にも対応している。

 セネマー氏によると、世界最大の低温貯蔵会社アメリコールド(Americold)では、同社のシステムを採用したことで、負傷が77%減少し、110万ドルの節約につながった。

 導入会社を増やし成長を続けると期待されるヴォクセルは8月30日、資金調達によって1200万ドルを確保したことを明らかにした。その結果、同社は2020年以降に累計3000万ドルを集めたことになる。

 同社は、今回の調達資金をリスク検出力強化や事故予想技術の統合、北米以外の市場への進出に投じる計画だ。

https://techcrunch.com/2023/08/30/voxel/