Monday, November 06, 2023 9:18 AM

アフリカのリチウム事業が米国の電池業界を支援

 アフリカで現在、初の中国資本が入らない大規模なリチウム生産プロジェクトが進行中で、自国内に電気自動車(EV)用電池の生産体制を構築しようとする米国の支えとなる期待がかかっている。

 オートモーティブ・ニュースによると、オーストラリアのリチウム探査会社アトランティック・リチウムがガーナに建設中のエウォヤ(Ewoyaa)鉱山は、産出されるリチウムの半分が、米国のリチウム資源開発会社ピードモント・リチウム(Piedmont Lithium、ノースカロライナ州)がテネシー州に建設を計画する精製工場に供給される予定になっている。

 ピードモントはアトランティックの2番目の大株主で、プロジェクト資金の大半を提供することに合意しており、キース・フィリップスCEOは「エウォヤへの投資は、将来米国で起こりうる供給の制約を緩和し、中国など外国への依存度を下げるのに役立つ重要な資源を提供することになる」と話している。

 中国は、ジンバブエ、マリ、コンゴ民主共和国それぞれのリチウム鉱山に投資し、EV電池の製造に必要な資源を確保している。リチウム、ニッケル、コバルトなど電池の重要な材料は価格が乱高下しており、米国政府が中国への依存軽減を進める中、緊急に供給を確保することの重要性が高まっている。

 アトランティックのキース・ミュラーCEOによると、ピードモントはガーナのプロジェクトへの折半出資を受け入れる用意があり、一方で中国の支援候補企業も支配権を握るため活動していたという。

 テスラやLG化学に水酸化リチウムを供給するピードモントは、8月にエウォヤの最初の22.5%の株式を取得するオプションを行使しており、開発に必要な最初の7000万ドルを出資する予定で、その後の追加費用も半分を負担する。

 エウォヤは、アフリカで開発中のリチウム・プロジェクトでは3番目に大きく、米国の連邦インフレ抑制法(IRA)を活用する予定。

 ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンス(BNEF)によると、アフリカにおけるリチウム総生産量は2030年までに22年比で70倍以上に増えると予測されており、そうなればアフリカの世界供給シェアは1%から14%に拡大する。エウォヤの鉱山はまだ環境当局の許可待ちだが、アトランティックは25年4〜6月期のリチウム鉱石採取開始を目指している。26年には工業規模の生産を始める予定で、炭酸リチウム換算で3万6000トン(テスラの「モデル3」約80万台分に相当)の生産を見込んでいる。