Monday, July 01, 2024 7:01 AM

CDKシステム障害、長引けばディーラー損害は10億ドル近く

 自動車ディーラーにソフトウェアサービスを提供するCDKグローバルの管理システムがサイバー攻撃で停止している問題が、7月4日(独立記念日)の連休まで続いた場合、ディーラーの経済的被害は合計10億ドル近くに上る可能性があるとの予想をコンサルティング会社アンダーソン・エコノミック・グループ(ミシガン州拠点)が発表した。

 オートモーティブ・ニュースによると、アンダーソンはこれまでに、2023年の全米自動車労組(UAW)ストライキを受けた米自動車3社の損失などを試算している。今回のディーラーの損害は、6月29日時点でおよそ6億ドルで、7月6日まで続けば9億4400万ドルに達する可能性があるという。

 CDKは、システム復旧は6月30日以降になるとの見通しを示していたが、ロイターによると29日までに一部のディーラーで復旧した。

 アンダーソンは、車両の販売、在庫担保融資の利息拡大のほか、IT、人員配置、管理コストなどの分野別に損失額を推計。影響を受けたディーラーの損失は、システムが停止した6月19日以降の4日間で計2億8400万ドルと推定しており、停止が6月29日まで続けば3億2100万ドル追加、7月6日まで続いた場合はさらに3億3900万ドルのコストがかかると見ている。CDKのシステム停止によって販売やサービス取引が中断され、6月の新車販売に大きな影響を与える可能性がある。

 アンダーソンの試算は、攻撃の影響を直接受けたディーラーだけが対象で、影響を受けていない店で車を購入する客もいるため、業界全体の損失を反映した数字ではない。また、攻撃を仕掛けた集団に支払われる身代金のほか、将来必要な監査費用、追加保険、今回の問題によってディーラーが負担しなければならなくなる研修などは含まれておらず、訴訟の解決に要する費用も含まれていない。