Friday, July 26, 2024 7:12 AM

半自動運転システムに安全上の利点なし〜IIHSが報告

 半自動運転システムは車の安全性に目立った影響を与えないという共同調査結果を、米国道路安全保険協会(IIHS)と道路交通事故データ研究所(HLDI)が発表した。

 オートモーティブ・ニュースによると、独自の先進運転支援技術「ドライビング・アシスタント・プラス」を搭載したBMW車と、同「プロパイロット」を搭載した日産車をテストしたところ、各システムによる安全上の利点は限定的であることが判明した。どちらのシステムにも、車線維持、他車両の近くでは減速する、カーブを道に沿って通過する…といった運転支援機能が含まれている。

 IIHSのジェシカ・チッチーノ上席副社長(調査担当)は「半自動運転システムを搭載した車の衝突率が、搭載していない同じ車種よりも低いのか、特にシステムの使用頻度が最も高いハイウェイでの状況を確認したかった。その結果、半自動運転システムが効果的な衝突回避システム以上に衝突を減らしているという確証は得られなかった」と話した。

 自動運転機能を採用する自動車メーカーが増える中、今回の結果は、自動運転システムの信頼性に対する懸念が高まっていることを再認識させられる内容だ。テスラの先進運転支援システム「オートパイロット」やフォードの「ブルークルーズ」技術に関する当局の調査はいずれも死亡事故に端を発しており、実際の運転状況における技術の安全性に疑問符が付いている。事故記録や保険申請データからも、これらの半自動運転システムは事故をほとんど防いでいないことが分かっている。

 一方、衝突回避機能は明らかに車の安全性を向上させている。IIHSによると、テストした日産「ローグ」は、2029年までに全ての新車に搭載が義務付けられる自動緊急ブレーキと前方衝突警告システムによって、追突事故が約50%減少した。衝突回避技術は、半自動運転システムと違って緊急時にだけ作動し、通常は目立たない。

 IIHSは報告書で、半自動運転システムは手動で作動させる必要があるほか、ドライバーに誤った安心感を与える恐れがあると指摘した。調査では「プロパイロット・アシスト」を搭載した日産ローグの衝突率が低かったが、その原因は同システム以外の車両の安全特性にある可能性が高いと、IIHSは見ている。IIHSのデビッド・ハーキー会長は声明で「あらゆる調査結果が、半自動運転は安全技術ではなく、パワーウィンドウや座席ヒーターのような便利な機能の一つということを示している」と述べた。