Wednesday, October 23, 2024 6:59 AM

カナダの大学研究班、固体電池の界面抵抗なくす方法を発見

 カナダのマギル大学(モントリオール)の研究チームは、固体リチウムイオン電池の開発で画期的な進歩を遂げ、固体電解質と電極間の界面抵抗をなくすことに成功したと発表した。

 エレクトライブによると、この研究は「安定した界面を持つ4.8ボルト(V)全固体ガーネットベースリチウム金属電池」というタイトルで科学誌「セル・リポーツ・フィジカル・サイエンス」に掲載された。

 固体電池は、可燃性の高い液体電解質に依存する現在の標準的なリチウムイオン電池よりも優れている可能性が期待され、経年劣化が少なく、耐久性も優れている可能性がある。しかし、自動車用など高性能用途の固体電池は、従来、セラミック電解質と電極の界面に形成される抵抗によって電池効率が低下し、供給可能なエネルギー量が制限されるという課題があった。

 マギル大学のチームは今回、少量のポリマーで満たされた多孔質セラミック膜を使うことで、リチウムイオンが電池内でより自由に移動できるようになることを発見。これにより固体電解質と電極間の界面抵抗がなくなり、電池性能が大幅に向上する。

 今年は固体電池に関する画期的な研究成果が数多く報告されており、9月にはルクセンブルクのナノテクノロジー企業OCSiAlが、台湾の固体電池メーカー、プロロジウム(ProLogium)の仏ダンケルク工場に供給するため、セルビアに単層カーボンナノチューブ分散液工場を開設した。ダンケルク工場では27年初めに固体電池の量産が始まる予定。