Tuesday, August 12, 2025 7:24 AM
トランプ関税、自動車業界には120億ドルの打撃
トランプ政権の高関税政策は、すでに世界中の自動車メーカーに120億ドル近い損失をもたらしており、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来最大の打撃となっている。関税によって業界では輸入コストが増大し、各社が価格調整や生産拠点の再構築を迫られているが、短期的な対応は難しく、打撃は長期化しそうだ。
◇大手10社は利益が25%減
ウォールストリート・ジャーナルによると、トヨタは関税引き上げにより2025年4〜6月期の営業利益が約30億ドル(4500億円)減少したと発表した。これは業界最大の損失だが、影響は今後も続く見通しで、26年3月期では95億ドル(1兆4000億円)規模の関税負担を見込んでおり、純利益は前年比で44%減少すると予想している。
ゼネラル・モーターズ(GM)も40億〜50億ドルの関税コストを見込んでおり、中国を除く世界の自動車メーカー大手10社の純利益は、今年度に約25%減少すると予測されている。これはパンデミックで工場が閉鎖された2020年以来最低の水準。
今のところほとんどのメーカーは目立った値上げを実施しておらず、利益率は圧迫され続けている。また、トランプ政権は関税の影響を相殺するため、環境規制の緩和やEV導入策の事実上の撤廃、EV購入に対する税控除の廃止といった措置も打ち出しており、メーカーにとってはEV販売義務を回避しつつ、利益率の高い大型ピックアップトラックなどの販売を継続する理由になっている。