Monday, November 24, 2025 6:23 AM
ビアノード、カナダにEV電池用合成黒鉛工場を建設へ
持続可能な電池素材の開発を手がけるノルウェイのビアノード(Vianode)は、電気自動車(EV)の電池向けに負極材を供給するため、カナダ・オンタリオ州に数十億ドル規模の合成黒鉛工場を建設する。
ロイターによると、同社は中国以外の供給源を求める防衛産業やエネルギー貯蔵分野の顧客とも供給交渉を進めている。黒鉛はEV電池の生産に不可欠な資源で、世界の供給の約95%を中国が支配する。
ビアノードによると、初期投資額は20億カナダドル(約14億3000万米ドル)で、生産開始は2028年末の予定。段階的に拡張し、30年代初頭までに年間最大15万トンの生産能力を目指す計画で、これはおよそEV200万台分の電池負極に相当する。
ブルクハルト・シュトラウベCEOによると、プロジェクト資金は、顧客との契約、株式発行、カナダ政府の支援によって調達する。生産開始は当初27年を計画していたが、米国でのEV需要の鈍化により1年延期された。
米国の自動車メーカーは、9月末でEV購入者向けの連邦税控除(7500ドル)が終了したことなどからEV計画を調整している。ゼネラル・モーターズ(GM)は1月、ビアノードからEV電池向け合成黒鉛負極材を調達する数十億ドル規模の契約を結んだと発表したが、10月末には米国でのEVや電池の生産、およびデトロイト、オハイオの工場雇用を削減する方針を表明した。
シュトラウベ氏は「現在、電動モビリティーの進展は足踏み状態だがそれは一過性の現象で、電動化の流れは揺るがない」と見ている。また、同社の交渉相手の多くは自動車メーカーだが、防衛分野のプロジェクトも含まれており「防衛産業の需要量は他の業界より小さいが、その戦略的重要性は非常に高い」と話している。