Wednesday, July 06, 2016 9:56 AM

労働者の過半数が有給未消化〜IT普及で仕事から逃げられず

 国内の労働者の半分以上は2015年に有給休暇を完全に消化しておらず、このためレストラン、住宅改修、ホテルその他の旅行支出など2230億ドル相当の経済効果が阻まれたとみられている。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、週に35時間以上勤務し、年次有給休暇が認められている労働者5641人を対象にしたGfKの調査では、15年に消化した有給休暇は平均16.2日で、1976〜00年の平均20.3日に比べるとかなり少なく、全部使わなかった人の割合は55%と前年より上昇した。

 有休を全部使えない主な理由は、スマートフォンやインターネットなどテクノロジーの発達で仕事との結びつきが強まったためで、GfKに調査を依頼した旅行業界の活動「タイム・オフ(Project: Time Off)」の担当者は「常にネットとつながっていることで自分は不可欠、絶対必要であるという気分になり、仕事から離れられなくなっている」と説明する。

 労働者はこのほかの理由として、未処理の仕事がたまった職場に戻るのが怖い、自分にしかできない仕事をしている、お金がない…などを挙げている。

 経済分析のオックスフォード・エコノミクスは、GfK調査結果と労働統計局(BLS)の人口統計を使って時代別の休暇取得状況を推定した。この結果、米国人が15年に消化しなかった有給休暇は合計6億5800万日で、このうち2億2200万日は翌年への繰り越しや換金ができないため、労働者は1人当たり丸2日分の有給休暇をなくした計算となる。

 有給休暇の消化日数は、00年ごろにそれまでの平年値である20.3日を下回ったが、失業率や消費者景気信頼感といった経済指標を反映した動きではなかった。労働省が休暇取得状況の調査を始めて以来最も失業率が高まったのは1982年(9.7%)だが、この年に米国人は平均20.9日の有給休暇を取っていた。