Thursday, May 18, 2017 10:41 AM

船舶にも自動運転機能を〜ノルウェー、貨物船で実験

 ノルウェーで、トラックに代わって貨物を運ぶことを目的に自動航行船舶の開発が始まった。

 環境関連情報ブログのGAS2によると、ノルウェー海事局(NMA)とノルウェー沿岸管理局(NCA)は、2016年9月、ノルウェー自律航行船フォーラム(NFAS)を立ち上げ、トロンハイム・フィヨルドやグリーンランドに自動航行船の実験海域を設定した。無人船舶の開発を促し、体験や情報を交換して貨物輸送で船の利用を広めるのが目的で、NFASは自律航行船なら輸送費も削減できる可能性があると見ている。

 トラックは都市部や高速道路で渋滞を引き起こす上、大半はディーゼル・エンジンを搭載して大量の有害物質を大気中に放出しているため、無人のロボット船を使ってトラックを減らせば排ガスが削減できると考えられる。

 ただし、自動航行の研究対象は大型のコンテナ船ではなく、浅い海域を航行でき、港でコンテナの上げ下ろしに使われる巨大なクレーンなどを必要としない次世代小型船だ。新しいタイプの電動船は、乗員のための調理室や寝室、ブリッジ、共同エリアなどが不要で軽量小型化が可能になり、軽くなればエンジンも小型で済み、燃費が向上しうる。

 ノルウェーはフィヨルド、湖、川が多く、人やモノの移動に水路が重要な役割を果たしており、こうした大規模な沿岸海運には自律航行船が理想的と考えられる。電源にはバッテリーか燃料電池を使い、充電や水素の補給は入港時に荷物の積み下ろしをしながら行える。

 自律航行船に必要な技術は、すでに自動運転車向けに開発されており、一連のカメラ、短距離レーダー、LIDARなどの技術が使用される見通し。船は常に担当者が陸から監視し、海岸線での使用が可能と判断されれば、より長い海洋航行が試験プロセスに組み込まれる。複数の小型船が船団を組んで一緒に大洋を横断し、それぞれの港に来ると個々の船が船団を離れ単独で港に入っていくというシナリオも考えられている。