Friday, August 11, 2017 10:23 AM
ツール&ダイ業界が崩壊へ〜業界コンサルが警告
北米のツール・アンド・ダイ(金型、治具、機械部品などの製造)業界は3〜4年後に不況となり、多くの事業が市場から撤退する恐れがあるという見通しを、著名業界コンサルタントが示した。
オートモーティブ・ニュースによると、業界と緊密な関係を持ちビジネスの状況を長年調査している自動車製造コンサルティング会社ハーバー・リザルツ(Harbour Results、ミシガン州)のローリー・ハーバーCEOは、最近の自動車業界会合で「ツール&ダイ業界は2020年以降に崩壊する」と警告した。
厳しい予想の理由は、自動車の新モデル用の受注が約半分に落ち込むと見込まれるため。ハーバー氏は「北米のツール&ダイ工場経営者の平均年齢は60歳を超えている。彼らは08〜09年の経済危機をようやく乗りこえたところで、次の不況が来れば『もうあんな苦しい思いはしたくない』と事業を閉鎖または売却するだろう」と話す。
ツール&ダイ業者が新型やデザインを修正した車の部品を作るための工具や金型といったハードウェアを製造する場合、注文はメーカーが新規モデルを投入する18〜20カ月前に行われる。自動車メーカーは今、25年が期限の燃費基準を達成するためプラットフォームやパワートレインを設計し直すという数年間にわたった大仕事を終えようとしており、このデザイン変更の波が収まると数年間は新しいツール&ダイの需要が低下する。
現在、北米ツール&ダイ業界は年間約135億ドルを売り上げており、90〜100億ドルだった過去の通常水準を大幅に上回るバブル景気の最中にあるが、ハーバー氏は「20〜21年には70億ドル以下に落ち込む」と予想している。
この業界は小規模な個人経営がほとんどであるため、そうなれば多くのオーナーは会社を売却するか閉鎖して引退すると考えられ、家族や経営陣による明確な後継プランはない場合が多いという。