Tuesday, March 27, 2018 10:00 AM
不要データ排除システムで救命率を向上
米国内最高峰病院の一つに位置づけられるメイヨー・クリニック(Mayo Clinic、ミネソタ州ローチェスター拠点)は、電子医療記録(EHR=electronic health record)に重ねられたデータ解析機能によって、集中治療室(ICU)専門医らのために不要データを排除する新システムを構築した。
フィアース・ヘルスケア誌によると、メイヨー・クリニックではそれによって、何千何万というデータ・ポイントを60個の重要情報に絞り込み、視覚化したうえでICU専門医たちに表示できるようにした。
「環境知能(ambient-intelligence)」の応用によって実現した同システムは、データの確認や取捨選択にかかる時間を劇的に減らすことで、医師たちがほかの重要な仕事に、より長い時間を割けるようにする、とメイヨー・クリニックのICU専門医3人がハーバード・ビジネス・レヴュー誌に寄稿した。
環境知能とは一般に、暮らしや仕事の現場(環境)にある種々の情報やデータを測ったり集めたり、認識したりして構造化または最適化、あるいは適応化させることで機能性を持たせる知能技術を指す。
「容態急変が多発し、迅速な措置が要求されるICUでは、小さな間違いが取り返しのつかない事態に直結する」「医師たちは、あふれる情報に目を通すことに追われているのが現場の実情だ」とそれら3人のうちの一人は話す。
EHRによって患者情報の電子化が進んだ反面、治療や病状とは関係ない情報であふれる状態が誘発されたため、時間との闘いが生死をわけるICUやEMD(救命救急)にとっては情報過多が負担にもなっている。
メイヨー・クリニックでは、約2年前から1500人の臨床医を対象に聴き取り調査を実施し、EHRを基盤としたどのようなデータ・ポイント(データ源)が特に不要または無意味かを検証した。
研究者らはその聴取結果をもとにICU専門医向けのEHRインターフェイスを構築し、不要情報を排除して統合かつ絞り込まれた結果が一目瞭然となるよう、個々の患者ごとの要注意情報と重要データが色分けによって強調される視覚化表示を実現した。
メイヨー・クリニックによると、同システム導入後のICU患者の死亡率は半分に下がった。
【https://www.fiercehealthcare.com/tech/mayo-clinic-data-analytics-icu】