Thursday, August 30, 2018 10:46 AM
独研究所、急速充電が可能な全固体電池を開発
ドイツのユーリヒ総合研究機構(FZJ)は、急速充電が可能な新しい全固体(ソリッドステート)電池を開発している。
FZJのプレスリリースによると、この電池は、互換性の良さに重点を置いて素材を選択した結果、充放電時の電流量を最大で従来の10倍に引き上げることに成功したという。すべての部品に化学的にも機械的にも他の素材との相性が良いリン酸化合物が使われており、通常なら10〜12時間かかる全固体電池の満充電が1時間以内でできるデザインとなっている。
グループ・リーダーのヘルマン・テンペル氏は「これまでの考え方では、内部インターフェースの問題で非常に少量の電流しか充放電できなかったが、われわれのコンセプトは適切な素材を組み合わせることでこれに対応した。すでに特許も取得している」と話した。
全固体電池は、現在電気自動車(EV)に使われているリチウムイオン電池よりも安全でエネルギー密度が高く、耐用期間も長い固体電解質を使う。リチウムイオン電池に続く次世代電池技術と期待されているが、まだ充電に時間がかかる傾向にある。
電池のエネルギー密度とEVの航続距離は比例し、エネルギー密度が高いほど航続距離は長くなる。FZJの開発した新しいバッテリー・セルは、最初の試験で500回以上の充放電を繰り返した後も非常に安定し、容量(電力量)は使い始めの84%以上を維持しており、出力に関する各種数値が燃料電池車(FCV)に近いという。FCVと全固体電池技術は、ほぼ同時期に商業的に成熟すると予想されている。