Tuesday, April 09, 2019 9:58 AM

日本電産、23年ごろインホイールモーター量産へ

 何十年も前から燃料電池車(FCV)やハイブリッド車(HV)を含む将来の電気自動車(EV)に使用されるといわてきたインホイールモーターの量産が、2023年ごろに始まる見通しとなっている。

 インホイールモーターはハブモーターとも呼ばれ、車の駆動輪の近くまたはハブ内に設置する電気モーター。従来のEVはエンジン車のエンジンと置き換える形で駆動モーターを1カ所に搭載していたが、インホイールモーター方式では駆動輪の数だけモーターを配置し、タイヤを直接駆動する。

 グリーンカー・リポーツによると、インホイールモーターの利点は、パッケージングが簡素化され車内や荷物用スペースが広くなるほか、車両の軽量化や重心を下げる効果もあり、効率の改善およびトラクションや安定性システムの精度が上がる可能性もある。

 日本電産はこの3月、ホイール・ハブに収まるように設計された完全一体型モーターシステムを発表し、23年ごろの量産を目指していることを明らかにした。大手サプライヤーが、今春に中国で量産を開始する軽量小型の一体型トラクションモーターシステム「E-Axle」商品ラインの延長として出すという点が注目される。日本電産のインホイールモーターは、20インチの車輪内に収まり、1つで100キロワット(134馬力)以上の出力があるという。

 これまでインホイールモーターが試作車への搭載や研究・開発(R&D)活動の域を出なかった原因は、ばね下重量にある。日本電産の新システムでさえ約70ポンドの重さがあり、こうした重いモーターをハブに組み込むには、根本的に異なるサスペンションの調整が必要となり、高度なダイナミック・ダンピング・システムが求められる可能性も高く、それによってあらゆる軽量化効果が打ち消される可能性がある。

 さらに、前後のアクスル(車軸)ごとではなく車輪ごとにモーターを搭載すればコストがかさみ、インホイールモーターは、縁石や陥没、凍結、凍結防止剤などで損傷する可能性もある。

 これまでは、電動オートバイのような一部の特殊車両では次の10年でほぼ確実にインホイールモーターが増えると予想されてきたが、乗用車への応用にはより長い年月がかかると見られていた。しかし日本電産がわずか4年後の量産計画を発表したことで、こうした見通しが変わる可能性も出てきた。

https://www.greencarreports.com/news/1122265_motor-supplier-sees-mass-produced-in-wheel-motors-around-2023