Tuesday, July 16, 2019 10:17 AM
ユニリーバ、工場のデジタル・ツイン開発に注力
消費財大手のユニリーバ(Unilever)は、生産工場から収集するデータを使って現場の状況を仮想再現するデジタル・ツインを構築しつつある。
デジタル・ツイン(digital twin)とは、物理的事象をデジタル上に模擬的に再現することを意味する概念。産業用モノのインターネット(IIoT=Industrial Internet of Things)が普及して、生産現場で使われる各種の機械に検知器が搭載され、そこから大量のデータが刻々と入ってくるようになった結果として実現し発展した。同技術は、精密機器や医薬品、石油&ガスを含むさまざまの製造現場に浸透しつつある。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、世界中で約300ヵ所に工場を持つユニリーバは、そのうち数十ヵ所のデジタル・ツインを今後1年ほどのあいだに開発する計画だ。同計画にはマイクロソフトが協力している。
両社は、試験的な一歩として、ブラジルのヴァリーニョスにある工場でデジタル・ツインを2018年に開発した。同工場では、石けんとアイスクリームを製造している。完全なデジタル・ツインを完成するのに3〜4週間を要した。石けんを押し出して裁断機に送る段階での温度のように、工程管理上のさまざまの条件を指定する必要があった。
この種の運営調整を細かく行えるようになったことで、同工場1ヵ所だけで約280万ドルの光熱費を削減し、生産性を1〜3%向上させられた、と同社は説明している。
ユニリーバはこれまでに、北米と南米、欧州、アジアの8ヵ所の工場のデジタル・ツインを構築した。デジタル・ツイン向けにデータを集めている工場は15ヵ所に上り、その数は2019年末までに70ヵ所、2020年末までにさらに100ヵ所、増える見通しだ。供給網をデジタル的に非常に詳細に再現するのが同社の最終目標だ。
同社の競合社プロクター&ギャンブルやコルゲート・パームオリーブも、供給網にスマート工場や人工知能といった先進技術を導入しつつある。
【https://www.wsj.com/articles/unilever-uses-virtual-factories-to-tune-up-its-supply-chain-11563206402】