Monday, July 29, 2019 10:10 AM

5G時代の到来で機器メーカーらが直面する問題

 第5世代(5G)無線通信規格がいよいよ本格的に普及し始めようとしている。5Gによって大容量無線データ転送が新たな市場を創造すると期待される一方で、課題として挙がっているのが電力消費量の増大だ。

 フォーブス誌によると、携帯電話通信網によるデータ転送は、ワイファイやブルートゥースでの転送にくらべて電力を必要し、5Gによってそれがさらに加速すると指摘される。

 類似の問題はパソコンですでに起きている。パソコンの処理能力は近年、プロセッサーの進歩によって各段に向上した一方、パソコンの電力消費量は増えている。ただ、携帯端末の場合、電池容量に限界があるため、利用者は、これまでより頻繁に充電するか、電源が常時供給される場所にいつづけるしかない。

 機器メーカーらは、無線通信速度が速まるごとに対応機種を開発するが、電力消費量増大という問題は大きな課題として残されたままだ。特に、産業用モノのインターネット(IIoT=Industrial Internet of Things)に使われる各種の検知器類といった機器は、5G通信によってデータ転送量を激増させ、各種の自動化や効率化に役立つデータの収集と解析に大きく寄与すると予想されるが、M2M(machine-to-machine、つまりIIoT)機器の内蔵電池の電力容量制約に関する解決策はまだない。

 そうしたなか、注目されるのが無線充電技術だ。現在、無線充電技術として普及している規格には、キ(Qi)とワイトリシティ(WiTricity)がある。それらの規格は、電気自動車の無線充電に使われることもある。また、無線電力連合(Wireless Power Consortium=WPC)のように、家電に無線給電する技術仕様の策定を進めている団体もある。

 一方で、超音波を使った無線給電技術の開発に取り組むユービーム(uBeam)のほか、ラジオ周波数を使って無線給電する技術を開発するエネジェス(Energous)や、パワーキャスト(Powercast)のように長距離無線充電技術の開発に挑む会社もある。

 長距離無線給電がもし実現すれば、機器メーカーらは、電池容量に制約された機器開発から解放される。しかし、長距離無線給電のための基幹設備の整備が必要になることを考慮すると、その実現にはまだ時間がかかりそうだ。

https://www.forbes.com/sites/forbestechcouncil/2019/07/23/5g-and-the-power-challenge-mobile-and-iot-device-manufacturers-will-face/#452aa701824d