Friday, August 23, 2019 10:04 AM
豪州科学技術機関、複合現実研究所を設立
オーストラリアの連邦科学&産業研究機関(The Commonwealth Scientific and Industrial Research Organizations=CISRO)は、デジタル・ツインに照準した複合現実研究所(Mixed Reality Lab)をメルボルンに開設する計画を進めている。CISROはそれによって、製造業を中心とした産業界における現場のデジタル化の加速を図る姿勢だ。
インターナショナル・マイニング誌によると、複合現実研究所は、産業向けおよび消費者向け光学カメラや検知器によって物体や環境に関するデジタル情報を集め、MR(複合現実)とデジタル・ツインを実現するための材料を確保する。
同研究所は、CISRO傘下のデジタル技術開発機関データ61によって運営される。
同研究所が集めたデータは、データ61が開発した機械学習や機械視認、モデリング、モノのインターネット(IoT=Internet of Things)といった先進技術の応用ソリューション群のほか、CISROが特許を持つ深層推定(Depth Estimation)技術「ステレオ・デプス・フュージョン(Stereo Depth Fusion)」を組み合わせることでデジタル・ツイン技術を開発する。ステレオ・デプス・フュージョンは、二次元画像データを三次元に変換する技術。
デジタル・ツイン(digital twin)とは、物理的事象をデジタル上に模擬的に再現することを意味する概念。たとえば、遠隔地にある工場や設備の環境をコンピュータ・システム上で模擬再現することで、現実の工場または機械の制御や管理を簡便化する。次世代の製造業や第4次産業革命(インダストリー4.0)を支える技術として位置づけられる。
米調査会社IDCによると、世界的大手2000社のうちデジタル・ツインを活用する会社の割り合いは2020年までに30%に達する見通しだ。
オーストラリアの産業&科学技術省のキャレン・アンドリューズ大臣は複合現実研究所について、技術が基幹産業をいかにてこ入れできるかを示す例になるだろう、と話した。同氏はまた、鉱業や農業がオーストラリアの主要産業だが、デジタル技術の活用によって製造業を大幅に成長させる方針で、向こう5年間に125万の新規雇用を生み出す計画を進めている。オーストラリアは、人口の少なさから製造業界が非常に小さい。
【https://im-mining.com/2019/08/21/csiro-launches-mixed-reality-digital-twin-lab-melbourne/】