Thursday, December 05, 2019 9:05 AM

アマゾン、クラウド経由の量子電算サービスを発表

 アマゾン・ウェブ・サービシズ(Amazon Web Services=AWS)は先日、量子電算サービス「ブラケット(Bracket)」を発表した。

 テッククランチ誌によると、プレヴュー・ローンチと位置づけられるブラケットは、量子電算の技術開発とサービス提供で先行するIBMやグーグル、マイクロソフトに対するアマゾンの答えだ。IBMとグーグル、マイクロソフトは、量子電算事業に関する革新やサービスをこの数ヵ月間にあいついで発表してきたが、アマゾンは鳴りを潜めてきた。

 アマゾンには量子電算の研究部門はなく、量子コンピュータを独自開発しているわけではない。ブラケットは量子コンピュータではなく、他社の量子電算力を提供するサービス・プラットフォームだ。したがって、ブラケットは、量子電算力をクラウド活用できるようになる開発者を増やし、膨大な演算を必要とする用途に向けたアプリケーションの開発が加速し、それによって量子電算を使えるようになる会社も激増すると予想される。

 ブラケットは、ディーウェイブ(D-Wave)やイオンキュー(IonQ)、リゲッティ・コンピューティング(Rigetti Computing)と提携し、各社の量子電算システムをAWSのクラウドで提供する。

 アマゾンはまた、AWSセンター・フォー・クアンタム・コンピューティング(AWS Center for Quantum Computing)およびAWSクアンタム・ソリューションズ・ラブ(AWS Quantum Solutions Lab)の立ち上げも発表した。

 ブラケットを活用する開発者らは、量子電算のアルゴリズムと基本的なアプリケーションを構築して、AWS上の模擬化ツールで試験できる。また、提携各社のハードウェアも使用できる。

 アマゾンにとっては、量子コンピュータの開発にコストをかけずに済み、提携会社らにとっては、AWSを介して幅広い開発者に訴求できるという利点がある。

 「AWSと協力することで、はるかに大きな市場に自社システムをもたらせる」と、リゲッティ・コンピューティングの設立者兼CEOのチャド・リゲッティ氏は述べた。

https://techcrunch.com/2019/12/02/aws-launches-braket-its-quantum-computing-service/