Wednesday, December 11, 2019 9:05 AM

人工知能、米銀行業界で600万件の高給職を奪う可能性

 人工知能は、銀行業界の雇用を大きく減少させる可能性がある。

 ビジネス・インサイダー誌によると、コーネル大学のマルコ・ロペス・デプラド教授は、米国議会下院の金融サービス委員会に出席した際、価格変動をモデル化しポートフォリオを構築するアルゴリズムによって、金融業界の高給職600万件が失われる可能性がある、という見方を示した。人工知能が雇用を完全に奪うわけではないものの、現在の従業員は、新たに台頭する技術を使って仕事をする職能を持ちあわせていない、と同氏は証言した。

 英国拠点の調査会社IHSマーキット(IHS Markit)が2019年に発行した報告書は、米金融業界の雇用が2030年までに130万件減る可能性があるという予想を示した。特に、顧客サービスや財務管理、規制遵守、融資といった職種に大きく影響する、とIHSは指摘する。

 さらに、ワシントンDCにある政策研究団体ブルッキングス研究所(Brookings Institution)は最近、技術業界と金融業界のホワイト・カラー職が、社会福祉サービスや教師、調理師といった職種に比べて、人工知能によって雇用機会を奪われる可能性が高いという見方を示した。

 銀行業界は人件費の高い業界でもある。金融アナリストの基本的年俸は9万1000ドル、取締役ともなると賞与を含め年収が100万ドル近くになる。

 キャップジェミニ(Capgemini)の2018年の報告書によると、世界の銀行業界は、自動化技術を使うことで2020年までに5120億ドルの売上高を追加できると予想された。そのため、銀行業界が自動化技術の導入を積極化させる動機は非常に大きい。

 大手銀行は人工知能をすでに活用している。JPモルガンは、機械学習技術に大きく投資している。シティのジェイミー・フォレシ社長は、5年以内に最大1万件の雇用がロボットに代わる、と2018年に語った。また、クレディ・スイスの最高技術責任者は、人工知能によって仕事がなくなった従業員の再研修を進めている、と話した。

https://www.businessinsider.com/banking-jobs-remain-popular-despite-the-threat-of-automation-2019-4