Monday, December 16, 2019 9:04 AM
モバイル技術で悪化する配偶者の経済的虐待
スマートフォンや追跡装置が配偶者の監視および経済的機能乱用(虐待)に悪用される事例が問題になっている。その一方で、技術の進歩は、虐待者(加害側)の隠し資産発見にも役立てられている。
配偶者経済的虐待(spousal financial abuse)とは、婚姻関係や恋愛関係にあるカップルの一方が相手を金銭によって支配し、自分に都合よく操ったり脅迫したりする行為を指す。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、最近では虐待者が被害者のラップトップにキーストローク監視ソフトウェアを実装し、被害者が第三者に助けを求めようとしているかや、個人で銀行口座を開設しようとしているかを監視する例もある、と虐待被害者擁護団体ウィメンSV(WomenSV)は指摘する。そのほか、隠しカメラや車載用GPS追跡装置が被害者の行動を監視するために使われている。
ウィメンSVによると、たとえば、夫が妻のテスラ(Tesla)製自家用車を、テスラのアプリケーションを使って追跡していた事例もあった。
米中央情報局(CIA)の元アナリストで現在は捜査およびセキュリティー専門コンサルタントのジョー・シーナー氏によると、こんにちの虐待者はむかしに比べて技術に明るい。たとえば、配偶者から資産を隠すために暗号通貨を使ったり、自身のオンライン行動を隠すために、勤務先のVPN(virtual private network)を使って通信を暗号化した事例もある。
一方、技術が経済的虐待行為の調査に役立つこともある。たとえば、シーナー氏は虐待者が古いSDカードから削除した情報を復元し、虐待者の秘密口座に130万ドルがあることを発見した。また、被害者のアイパッドを調べた結果、被害者の証券口座に虐待者がひそかにアクセスしていたことがわかった事例もあった。
虐待者は、離婚後に被害者に払う養育費や生活費を減らすために、自身の隠し口座に資産を入れることで、実際より少なく見せるという手口を使っている。
【https://www.wsj.com/articles/financial-abuse-in-the-age-of-smartphones-11575727200】