Wednesday, February 10, 2021 10:12 AM
人工知能と5Gで魚の養殖に革新をもたらす実験が進行
ノルウェイのサケ養殖会社セルマック(Cermaq)は、人工知能と5G通信といった台頭先進技術を事業に活かすための実験を始めた。
フォーブス誌によると、同社が開始した試験事業は「アイファーム(iFarm)」と呼ばれ、2025年までの5年計画で行われる。技術協力会社としてバイオソート(BioSort)とスケールAQ(ScaleAQ)が加わる。同事業の目的は、養殖事業の最適化を目的とした技術活用法を模索することだ。
サケの養殖に技術がもたらすおもな利点の一つは、個体ごとの健康状態や生育状況を理解して、個別化された養殖の取り組み方を特定できるようになることだ。これまでは、たとえば寄生虫が発生していれば、同じ施設内のすべてのサケに同じ措置が施されていた。技術を活用することで、対応の必要な個体を特定できるようになり、全体にかかる負荷や不要な措置を減らすのに役立つ。
また、疾病だけでなく餌の必要性も個体ごとに把握できるようになる。結果的に、十分に成長した個体のみを捕獲できるようになり、養殖業界のあり方を大きく改善できる可能性がある。
アイファームには現在、複数のアイファーム・システム(養殖設備、いけす)があり、それぞれに15万匹のサケが入れられている。同システムは、海に設置された網囲いの上部も網で閉じて、魚が呼吸のために海面に浮上する際に検知器群でスキャンして個体を認識しデータを記録する。
それらのデータと画像は自動的に処理され、人工知能アルゴリズムに送られて解析される。重さや発達(成長)状況、疾病や傷の状況をとらえたうえで、意思決定ができるようになる。
類似研究はほかでも進められている。スコットランドのサケ養殖場では、5G通信に接続された検知器群を使って海水の温度やpH、酸素量を測定している。
また、アルファベット(Alphabet)と傘下の研究事業部門エックス(X)は、欧州およびアジアの養殖施設で「タイダル(Tidal)」という名の試験事業を進めている。セルマックのアイファームと似たタイダル・システムでは、水中カメラと機械視認、人工知能によってサケとマグロの状況を管理している。
https://www.forbes.com/sites/bernardmarr/2021/02/08/the-amazing-ways-you-can-combine-ai-5g-and-machine-vision-to-transform-fish-farming/?ss=ai&sh=68210ed95fe8