Thursday, March 18, 2021 9:36 AM

ACCで事故リスク高まる恐れ〜IIHSの最新報告

 ブレーキと速度を制御して先行車との安全な感覚を保つ車間距離制御システム(ACC)を使うドライバーは、速度を出しすぎる傾向があるため交通事故のリスクが高まるという調査結果を、米道路安全保険協会(IIHS)が発表した。

 ロイター通信によると、ACCを使うドライバーは、システムで車の安全性が高まっていると信じて限度を超えた巡航速度を設定する可能性が高く、システムに頼らず運転しているドライバーより致命的な事故を起こすリスクが10%高くなることが分かったという。

 論文作成を主導したIIHSの統計学者サム・モンフォート氏は「ACCには安全上有益な部分があるが、ドライバーがシステムを誤って使えば利点が相殺されてしまうと考えることが重要だ」と指摘する。

 IIHS調査は、2016年型ランドローバー「レンジローバー・イヴォーク」と17年型ボルボ「S90」をボストン地域で運転した40人のドライバーを4週間にわたって分析した。ACCによって事故リスクが高まるという結論は、実際の事故ではなく統計分析によって導かれた。

 論文は「システムの反応時間を速くし、ブレーキによる事故回避能力を高めることで速度超過によるリスクを抑えられるか判断するには、さらに研究が必要」と説明した。

 ACCは、新車への搭載が増えたいくつかの先進運転支援システム(ADAS)の一部となっており、限られた状況下でいくつかの日常的な運転タスクを実行できる。自動ブレーキや死角検出などADASを構成する多くの機能で安全上の利点が証明されているものの、歩行者検出といった機能はまだ初期段階にある。

 IIHSの関連団体・高速道路損失データ協会(HLDI)が20年に実施した調査では、一部のACCシステムは事故を減らせることが分かっている。

https://www.reuters.com/article/us-autos-autonomous-safety/cars-adaptive-cruise-control-raises-crash-risks-u-s-study-finds-idUSKBN2B32NH