Wednesday, April 28, 2021 12:55 PM
アップル、利用者行動追跡を制限する新機能を追加
アップル(Apple)が4月26日に提供開始したiOS新版の14.5は、アイフォーン利用者のプライバシー保護機能が強化されたことで、第三者モバイル・アプリケーション開発業者やモバイル広告業者に深刻な打撃をあたえるとみられる。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、iOS 14.5では、アップ追跡透明性(App Tracking Transparency=ATT)という新機能によって、すべてのアプリケーションに対し、利用者行動を追跡してほかの業者らと行動データを共有することに関する利用者の同意(許可)を求めることを義務づける。一部のiOS端末利用者はそれを拒否することが確実視されることから、アプリケーション提供業者やモバイル広告業者は利用者データを集めて転用できなくなる、とデジタル広告専門家らは指摘する。
それに対しアップルのソフトウェア工学担当上席副社長クレイグ・フェデリギ氏は、「利用者らに選択肢を与えたいだけ」と話した。
ソーシャル・メディアのモバイル・アプリケーションは、有料ゲームやゲーム内デジタル商品販売によって収入を得るアプリケーションと違って広告収入に依存することから、フェイスブックやインスタグラム、ピンタレスト、ユーチューブらはATTによって非常に大きな影響を受けると予想される。
フェイスブックは、ATTが発表された数ヵ月からアップルの同方針に激しく反発し、ATTが「小規模会社にとって大打撃」となり、「反競争的」かつ「偽善的」だと批判している。
フェイスブックの広告および製品販促担当副社長グラーム・マッド氏は、ATTによって追跡許可を聞かれる利用者の多くが反射的または直感的に拒否するだろうと指摘する。その結果、有料コンテントの割り合いが大幅に増え、広告力や販促力の弱い業者が打撃を受ける、と話した。
フェイスブックはさらに、利用者のモバイル・オンライン行動データを集めることで、個々の利用者との関連性が高い個人化広告(標的広告)の表示(配信)が可能となる点を強調した。利用者行動追跡データはそのために活用されており、利用者らの利用体験向上に役立っている、と同社は話している。
ATTは、利用者行動データの収集と活用を劇的に減らすことが確実視されるため、標的広告の大幅減少につながり、3700億ドルともいわれるデジタル広告市場に非常に大きな影響がおよぶと予想される。
https://www.wsj.com/articles/ios-14-5-a-guide-to-apples-new-app-tracking-controls-11619457425