Friday, June 04, 2021 10:24 AM
仮想現実は高齢者の感情的健康を助けるか?
フロリダ州ポンパノーにある高齢者住居施設ジョン・ノックス・ヴィレッジ(John Knox Village )に住むテリー・コウリーさんとほか3人は6月1日、コンピュータを使って国際宇宙基地に仮想旅行した。同事業は、仮想現実(virtual reality=VR)が高齢者の幸福感向上に貢献できるかどうかを調べるスタンフォード大学の研究の手始めとして実施された。
AP通信によると、重さ約1ポンドのVRヘッドセットを装着したコウリーさんらは、音と動画によって宇宙飛行士らと一緒に無重力を仮想体験しながら、視野角360度で国際宇宙基地を仮想訪問した。
同システムでは、パリやヴェニス、エジプト、そのほかの観光名所旅行や自動車ラリー観戦、スカイダイビング、ハイキングも仮想体験できる。
「すばらしい。驚きだ。そこに本当にいるかのように感じる」と在ワシントンDCカナダ大使館の元報道官コウリーさん(73)は話した。
スタンフォード大学の仮想人的交流ラブ(Virtual Human Interaction Lab)は、ジョン・ノックス・ヴィレッジの住人1200人の協力を得て、担当者たちの監督のもとにVR設備を使って仮想体験をしてもらい、それが日々の感情や幸福感にどのように影響するかについて研究を進める。
その目的は、仮想現実が高齢者の感情や精神的な状態を向上し、職員たちとの関係性を強めながら、技術に対してより受容的になれるかどうかを検証することだ。仮想人的交流ラブは、同様の研究を米国内の別の地域の高齢者施設でも近く始める計画だ。
「VRには、適切に処方されれば不安の解消や気分の向上、鎮痛といった効果があることが各国の学術研究論文によって報告されてきた」と仮想人的交流ラブの創設者ジェレミー・ベイレンソン教授(コミュニケーション学)は話している。
「われわれの研究は、VRをどのように使えば入居者たちが感じる世間や社会からの疎外感をやわらげられるかに焦点をあてる」「新型コロナウイルス・パンデミック中にそういった気持になった人は、年齢に関係なく増えており、われわれ全員が直面する課題の一つだ」と同氏は述べた。
https://apnews.com/article/seniors-business-technology-health-education-007b522597b60b45fd9f3b2c4e0b5e87