Wednesday, October 13, 2021 11:33 AM
退役軍人省、ARの手術システムを導入へ
米連邦政府機関の退役軍人省では、5G通信の活用を積極的に進めており、その一環として、手術現場に拡張現実(AR)技術を近く導入する計画だ。退役軍人省は、現役と退役の米軍兵士らに医療サービスを提供する巨大な病院システム網と医療研究施設を運営している。
フェド・テック・マガジンによると、退役軍人省は、米国の非軍事分野の省庁のなかで5G通信を先進的に導入および活用している機関の一つだ。同省は、プロジェクト・コンヴァージェンス(Project Convergence)と称する取り組みを1年以上前から進めている。5G通信に接続するAR手術システム導入計画はその一部だ。
「先駆的な同技術によって、退役軍人省の運営する医療機関では、手術前の準備と措置に際して患者の体内を見ることができるようになる」と、同省のウェブサイトは説明している。
同事業ではこれまで「教育研修と手術前の計画策定」におもな重点を置いてきたが、将来的にはARヘッドセットを使って医師の眼前に画像や情報を投影し、手術や措置の有効性を高めることを視野に入れている。
MRIやCTスキャンを含めファイル・サイズが大きい画像を処理および分析するうえで、5G通信は欠かせない。同省は、ベライゾン(Verizon)の通信網を病院内に整備したほか、メディヴィス(Medivis)とマイクロソフト(Microsoft)の技術も導入している。メディヴィスは、食品&医薬品局(FDA)から認可を受けた手術関連AR視覚化ソフトウェアを開発しており、マイクロソフトは、ARヘッドセット「ホロレンズ(HoloLens)」とクラウド・サービス「アジュール(Azure)」を提供している。
退役軍人省ではこれまでに、「エックス線ヴィジョン」のARを実験室環境で試験し、患者の身体に医療画像を重ね合わせて使う方法を試してきた。「眼前にいる患者の上に継ぎ目なしに情報を投影できるところまで近づいている」と、同省傘下の協業医療革新国立センター(National Center for Collaborative Healthcare Innovation)のトーマス・オズボーン所長は説明している。
同事業では、仮想現実(VR)の活用も進めている。VRイマージョンと呼ばれる治療法では、痛みやストレス、不安といった症状を持つ患者に対してリラクゼーションの環境を提供し、効果を挙げているという。
https://fedtechmagazine.com/article/2021/10/va-looks-expand-its-use-5g-and-ar-help-doctors-and-patients