Tuesday, December 21, 2021 10:45 AM
保険業界の人工知能使用を規制する動きが活発化
保険業界で人工知能の使用に関する規則および規制を設けようとする動きが強まりつつある。どのようなデータをどのようなアルゴリズムで分析および適用するかによって偏向が起きる可能性が懸念されるためだ。
人工知能技術を使った監査や検証のサービスを提供するモニター(Monitaur)の設立者兼CEOのアンソニー・ハベイブ氏はこのほど、ベンチャービート誌に寄稿した記事のなかで、最近に開催された全米保険コミッショナー協会(National Association of Insurance Commissioners=NAIC)の会議において学んだことや最新の業界動向をまとめた。
同氏によると、たとえばニューヨーク市議会では、人材採用過程に人工知能が偏見をもたらさないようにするための条例を制定しようとしている。また、連邦取引委員会(FTC)は、責任ある人工知能と機械学習のモデルを構築するための指針を策定している。
さらに、欧州連合理事会は最近、提案中の人工知能法に関する更新内容を発表し、保険業界における人工知能の使用を「高リスク」と区分する変更を盛り込んだ。
そのほか、コロラド州では、保険会社らが社外の消費者データを使う際の使用方法を規制する法案が提案されている。また、連邦水準では、「悪質なアルゴリズムに対する正義法(Justice Against Malicious Algorithms Act)」が下院で提案されている。
NAICは、2020年8月に、人工知能に関する原則を打ち出した。過去1年間の取り組みの重点は、人工知能がどういった分野でどのように使われているかについて正確なデータを入手することに置かれていた。ハベイブ氏が参加した先の会議のビッグ・データ作業部会でその初期の成果が発表された際には、保険会社ら幅広い業務において人工知能を使っていることが明らかになった。
その作業部会では、住宅保険や生命保険にも対象を拡大していく計画だ。最終的には、人工知能の使用方法を規制することで業界にどのような影響がおよぶかを見きわめようとしている。
人工知能の使用方法を規制するのは非常に困難な作業であり、消費者保護と革新促進のあいだで均衡をとる必要がある、とハベイブ氏は論じている。
保険規制当局が人工知能にどのように取り組んでいくかは、2022年にかけてさらに明らかになっていくとみられる。
https://venturebeat.com/2021/12/18/how-ai-regulation-is-developing-in-the-insurance-industry/