Wednesday, July 06, 2022 11:40 AM

チップ業界、近年で初の景気減速の兆し

 新型コロナウイルス感染症の発生以来、半導体の世界的な供給不足が続き、チップ業界は活況したが、現在、チップ不足が始まって以来初めて、チップ業界景気減速の兆しが浮上した。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、減速の要因としては、1)在宅勤務が始まった当初にラップトップの購入が急増したが、その需要がなくなった、2)そのため、パソコンを比較的最近に購入した人が多く、昨今のインフレーションも重なって、買い替え需要を期待できない、3)加えて、暗号通貨の暴落で採掘(マイニング)需要が急激に弱まった、4)さらには、家庭での娯楽需要が減って、ビデオゲーム用の高位機種も需要が衰えている、という4つが挙げられる。

 ただ、自動車やデータ・センターを筆頭に、一部の産業市場向けのチップは依然として需要があり、需給に圧力がかかり続けている。冷え込みがみられるのは、おもに消費者向けの用途だ。

 インテルとエヌビディアは、過去2年にわたってすべての製品で需要拡大の恩恵を受けてきたが、最近になって、向こう数ヵ月の不透明な展望に警鐘をあいついで鳴らした。

 インテルのデイヴィッド・ジンスナー最高財務責任者は6月、2022年下半期の展望が過去1ヵ月間で「はるかに雑音交じり」になったと話し、実態にあわせて支出と投資を調整していく、と説明した。同社は6月、パソコン向けチップ部門で新規採用を一時的に停止した。

 エヌビディアは先日、同社にとって2大市場である暗号通貨採掘とビデオゲームに減速がみられることから、人員採用を鈍化させると説明した。

 エヌビディアの最新のグラフィック・カードは、過去2年にわたって購入が難しいほど高需要だったが、カリフォルニアの小売店セントラル・コンピュータース(Central Computers)によると、最近では在庫が十分にあるという。

 メモリー大手マイクロン・テクノロジーズのサンジェイ・メフロトラCEOは先週、「業界の需要環境が軟化した」と語り、パソコンとスマートフォンの販売が減少しつつある、と話した。同社も、新しい市場環境にあわせて支出を抑えていく計画だ。

 アドバンスト・マイクロ・デバイセズは、向こう2~3年間にコンピューター需要が横ばいになるという見通しを示した。HPとデル・テクノロジーズは、比較的下位のパソコンの需要が軟化しているという見方を示した。

https://www.wsj.com/articles/chip-boom-loses-steam-on-slowing-pc-sales-crypto-rout-11656932580?mod=tech_lead_pos4