Thursday, July 07, 2022 11:00 AM
プリント基板の設計を人工知能で自動化
人工知能を活用した自動化ソフトウェアを開発するセラス(Celus)は、プリント基板の設計を支援するためのツールを改良しようとしている。その改良が進めば、非常に煩雑で面倒な設計過程が劇的に簡便化され、コスト削減にも大きく貢献する。
ベンチャービート誌によると、同社は、デジタル・ツインを活用して設計時の選択肢を模擬化し、適切な設計を自動的に特定できるようにするという手法で期待されている。同社はまた、電子部品の検索エンジンを開発しており、設計技師たちが電子部品を選ぶ際の作業に革新をもたらしつつある。
デジタル・ツイン(digital twin)とは、物理的事象をデジタル環境で模擬的に再現することを意味する概念。
同社はさらに、プリント基板上に個別の部品をどのように配置すべきかを自動的に判断するためのツールも開発しようとしている。機械学習を活用して配置を改善し、小型化してコストを引き下げることがそのねらいだ。
それらの技術は、新しい部品が登場するのにあわせてプリント基板の設計を改良していくだけでなく、チップの供給不足で設計変更を余儀なくされる場合にも応用できる可能性がある。
セラスの技術を試験的に使っている顧客の一つがヴィースマン・クライメット・ソリューションズ(Viessmann Climate Solutions)だ。同社は、ヒートポンプや冷蔵庫、空調機の制御システムを設計している。最高技術責任者のマーカス・クラウスナー氏は、設計仕様と部品を合致させるために数えきれないほどの時間をこれまで費やしてきたと話す。電子部品のカタログは情報整理が改善されつつあるものの、それでも設計の要件と部品の仕様を整合させる作業には時間がかかるという。
「セラスは流通業者らを接続化かつ連携させることで、その過程を自動化する。そのため、手作業でする必要性をなくせるようになる」と、クラウスナー氏は言う。
新しい物体やデジタルの著作物を作成する人工知能は、「生成人工知能(Generative AI)」と呼ばれる。調査会社ガートナーのエリック・ブレスノー分析家は、その種の人工知能がチップや建物、防犯システム、そのほかさまざまのシステムの設計を支援するようになっていると指摘する。「生成人工知能は、人間と機械が協力して、より良い設計を生み出す方法および過程だ」と、ブレスノー氏は述べた。
https://venturebeat.com/2022/07/06/celus-to-bring-automation-to-electronics-design/