Friday, December 02, 2022 11:35 AM

ブラックベリー、AWSとの提携を拡大

 カナダ拠点のセキュリティー・ソフトウェア大手ブラックベリー(BlackBerry)は11月末に、アマゾン・ウェブ・サービシズ(Amazon Web Services=AWS)の活用範囲を拡大し、各種の組み込み型システムの開発者らが車載ソフトウェア「QNX」の技術を初めてクラウドで使えるようにした。それによって、製品が市場に出るまでの時間が大幅に短縮されると期待される。

 ブラックベリーのプレス・リリースによると、QNX部門は、11月28日から12月2日までラスベガスで開催中のアマゾン催事「AWSリ:インヴェント(AWS re:Invent)2022」において、AWSグラヴィトン(Graviton)2プロセッサーを搭載したアマゾンEC2(Elastic Compute Cloud)上でネイティブに動作するQNXのRTOS(リアルタイムOS)と人工知能データ・プラットフォーム「ブラックベリー・アイヴィー(BlackBerry IVY)」を実演した。

 クラウド基盤のQNX RTOSは、クラウド・ネイティブの開発ワークベンチ(機能やツールの集合体)として機能し、単独でも、ブラックベリーとAWSが作成したクラウドCV接続車(connected car=CV)人工知能プラットフォームであるブラックベリー・アイヴィーと組み合わせても利用できる。

 自動車のほか、ロボットや医療機器、産業制御、航空といった業界は、QNXの「ニュートリノ(Neutrino)RTOS」をクラウド経由で使うことによって、試験や検証、妥当性確認を通じてソフトウェアの信頼性を保証しつつ、開発時間を短縮できる。

 自動車業界では昨今、消費者や各国の規制当局から高まる高度の機能や性能に対する要求への対応を迫られている。昨今の車に搭載されるソフトウェアのソース・コードは、平均的な車種でも1億行を超える。そのため、車の電子機能設計はますます複雑になっており、自動車メーカーらは、機能安全(ISO 26262)およびサイバーセキュリティー(ISO 21434)の要件を満たしつつ、車載ソフトウェア生態系全体の試験版製作や試験、検証を行うという重圧にさらされている。

 将来のソフトウェア制御型車両の構築を進めるなか、AWSに支えられたクラウド・ネイティブのQNX RTOSを利用することで、メーカーらはそういった課題のいくつかに対処し、開発者たちとの摩擦を減らして開発作業を効率化できるようになる。一部の自動車メーカーや一次供給業者らには、同プロジェクトの早期アクセス版がすでに提供されており、次世代車技術の開発に際して同ソリューションが試験的に運用されている。

https://www.blackberry.com/us/en/company/newsroom/press-releases/2022/blackberry-expands-work-with-aws-to-elevate-blackberry-qnx-foundational-software-to-the-cloud-accelerating-time-to-market-for-miss ion-critical-embedded-systems