Monday, December 12, 2022 11:33 AM

リーチ・パワー、無線送電技術で台頭か

 無線送電技術の開発に取り組むシリコン・バレー新興企業リーチ・パワー(Reach Power)は先日、独自技術の商業化に向けた資金調達ラウンドで3000万ドルを確保した。

 ロイター通信によると、大規模電力源を備えた大型パラボラ・アンテナによる同様の技術は過去にも実証されているが、リーチ・パワーの創設者クリス・ダブランテスCEOは、「エネルギー・ビームを正確に集束できる大電力アンテナの開発と制御ソフトウェアの改良によって効果的な無線送電システムの実現が可能になった」と話す。

 同氏は取材に対し、電池のないラジオをアンテナ経由の無線電力受信機に接続し、25フィート(約7.6メートル)の距離から電力送信機でラジオの音を出す実演を行った。

 より強力な電気ビームを発射することの安全性に関しては、「同システムは物体を検知するとスイッチを切ったり照射線を迂回させたりできる」と同氏は説明した。また、「当社のシステムのそばにいても、放射線量は普通の携帯電話とつねに同程度だと保証する」と同氏は述べた。

 リーチ・パワーは、より強力な電力の伝送や長距離伝送のために複数のエネルギー照射モジュールを組み合わせることができる試作品について米国防総省の契約を獲得した。

 同社はまた、電気を運ぶ電波の放射と受信が可能の電源管理チップを設計しており、2023年第1四半期に出荷を予定する商用製品に同技術を採用する予定だ。その初期には、ロボットや自動運転車(AV)を使うメーカーや物流会社向けに出荷する。

 今回の資金調達を主導したベンチャー・キャピタル会社DCVCの共同創設者マット・オッコ氏は、「インターネット接続によってワイファイが実現したように、リーチ・パワーは電力で電線を不要にする」と話した。

 「この分野にはほかにも新興企業がいくつかあるが、出力や距離、拡張性、電力効率、安全性、費用対効果の組み合わせという複数の重要な要素において、リーチ・パワーに匹敵する会社はない」とオッコ氏は述べた。

https://www.reuters.com/technology/silicon-valley-startup-beaming-electricity-wirelessly-raises-30-million-2022-12-02/