Tuesday, December 20, 2022 11:46 AM
IoT技術で実験室環境の問題解決に革新
新興企業のエレメンタル・マシーンズ(Elemental Machines、マサチューセッツ州ケンブリッジ拠点)は、検知器とクラウド電算、そしてモノのインターネット(Internet of Things=IoT)技術を組み合わせることで、実験室環境の事象や変化を正確に検知して通知するソリューションによって、実験が不可欠の業界に革新をもたらしている。
フォーブス誌によると、同社の技術は、実験環境におけるさまざまの要因を監視することで、研究&開発経費を数百万ドルという大きな単位で節減できる可能性がある。
エレメンタル・マシーンズの取り組みは、設立者のスリドハー・アイエンガー氏の体験にもとづいている。同氏は、ケンブリッジ大学の博士号課程に在籍していたころ、数百回と実施してきた日常的な実験が突如としてうまくいかなくなったという事態に直面した。原因究明に数ヵ月かかったのち、ガラス製品を洗う洗剤を大学管理者が別会社の製品に切り替えていたことが原因だったことをつきとめた。その種のことは、実験室ではよく起こることだ。
同氏はその後、アガメイトリックス(AgaMatrix)を2001年に設立し、スマートフォンに接続できる医療機器として初めて米国の食品&医薬品局(FDA)から販売認可を取得した。さらに、フィットネス・トラッカーを開発するミスフィット(Misfit)を立ち上げ、2015年に2億6000万ドルでフォッシル(Fossil)に売却した。
エレメンタル・マシーンズのソリューションは、それらの事業でつちかった技術を土台とする。同社の事業は、実験環境全体を評価して、実験の過程や機器がもっとも効率的に使われるようにする。たとえば、頻繁に使う機器は、そうでない機器よりも頻繁に較正する必要があるため、それらを検知器で検出してクラウド・プラットフォームで情報提供する。
同社はこれまでに500の組織を超える顧客を獲得した。ギンコー・バイオワークス(Ginkgo Bioworks)をはじめ、最先端のバイオ技術研究を手がける会社らが同社の顧客に含まれる。
「2020年にエレメンタル・マシーンズの遠隔監視技術を使い始めた。そのおかげで実験室の冷蔵施設の状況やドアの開閉状況を確実に監視できるようになった」と、ギンコー・バイオワークスのアンナ・グリーンスワグ氏は話している。
エレメンタル・マシーンズのソリューション群はベンチャー・キャピタル投資業界からも注目されるようになった。同社は先日、シリーズBの資金調達で4100万ドルを調達したことを発表した。
同社は今後、その調達資金を使って、研究&開発を強化するとともに品質管理サービスを拡大して、製造や素材化学、食品技術、農業技術といった分野にも対応するソリューションを提供する計画だ。
https://www.forbes.com/sites/johncumbers/2022/12/18/elemental-machines-is-bringing-the-internet-of-things-to-lab-operations-to-save-millions-of-dollars-for-biotech-companies/?sh=665f7f77e076