Thursday, January 26, 2023 11:53 AM

プロプリオ、次なる革新を手術にもたらす可能性

 シアトル拠点の新興企業プロプリオ(Proprio)は、人工知能(AI)と拡張現実(AR)の技術を応用して手術のあり方を変えつつある。

 ギークワイヤー誌によると、6年前に設立された同社のシステムは、画面に映し出される立体映像を執刀医がリアルタイムで見ながら手術を進められるようにする。どこをどのように切開すべきか、どこに医療器具をどのように置いて使うべきかといったことを正確かつ迅速に判断するのに役立つ。

 プロプリオという社名は、「固有受容」を意味する「proprioception」という単語に由来する。固有受容とは、自分の身体の位置や動き、力の入れ具合を感じ取る感覚を意味する。

 「執刀医にとって固有受容はきわめて重要だ」と、共同設立者のゲイブリエル・ジョーンズCEOは語している。

 同社は、「パラダイム(Paradigm)」と呼ばれる同システムの販売認可を米食品&医薬品局(FDA)に申請済みで、ことし前半にも認可が下りると見込んでいる。それが取得でき次第、複数の医療機関がパラダイムを採用する見通しだ。同社はその後、本格的に商業販売へと進みたい意向だ。

 パラダイムはこれまで、脊椎や頭蓋骨の手術でおもに試験されてきた。脊椎や頭蓋骨の手術は、病院にとって大きな売上高構成比を占める分野で、それがプロプリオの標的市場でもある。

 パラダイムは、手術中に高精細度画像を撮影し、手術前に撮影した立体画像に重ね合わせる。ライト・フィールド・イメージングや機械視認(computer vision)、機械学習、ロボティクス、拡張現実の技術が融合された先進的システムだ。

 パラダイムは、肉眼では見にくい場所や、見ることができない場所の映像も画面上に示すことができ、手術部位の変化や位置の変化もリアルタイムで把握できる。

 メドトロニック(Medtronic)を含む医療機器大手らも同様の機能をもたらすシステムを提供しているが、プロプリオが約束する機能を完全に提供するわけではない。オーストラリア脊椎学会の元会長でクイーンズランド州の病院に勤務するマシュー・スコット・ヤング医師は、他社システムについて「一部の機能群を一つのプラットフォームに統合しているにすぎない」と指摘する。そのため、「プロプリオのパラダイムは画期的な技術となる可能性がある」とヤング氏は述べた。

https://www.geekwire.com/2023/seattle-startup-aims-to-change-surgery-using-ai-computer-vision-and-augmented-reality/