Thursday, February 02, 2023 11:57 AM

NASAとIBM、気候科学の発展を目指して提携

 米国航空宇宙局(NASA)は、地球空間人工衛星データの分析に役立つ人工知能の新しい基本モデル群を開発するために、IBMと提携する。

 ベンチャービート誌によると、NASAはこれまで、個別の目的に応じて人工知能モデル群をおおむね内部で独自に開発してきた。IBMとの提携で開発を目指す基本モデル群は、大規模言語モデル(large language model=LLM)を使って多数のデータを学習させる汎用システム群で、必要に応じてカスタマイズできるものだ。

 同提携の当面の目標は、NASAの「ハーモナイズド・ランドサット・センティネル(Harmonized Landsat Sentinel=HLS)2」データセットで基本モデル群を学習させることだ。宇宙から集めたデータであるHLS2には、地球上の土地利用の変化に関する数ペタバイトのデータが含まれている。

 IBMは、それらのモデル群を使って気候変動の分析を向上させるだけでなく、人工知能の組織的な利用方法を全体として拡大できると期待している。

 「NASAとの協業でわれわれが目指すことは、社会基盤やハードウェアから分散型システムのプラットフォーム、ミドルウェア、さらにはアプリケーションまで、すべての範囲で技術革新をあと押しすることだ」「そのなかには人工知能アーキテクチャーやデータ管理方法の進歩が含まれる」と、IBMリサーチのハイブリッド・クラウド・プラットフォーム担当副社長プリヤ・ナグプルカール氏は話している。

 NASAによると、世界最大の地球観測データをNASAは保有している。現在のデータ量は70ペタバイトで、それが数年以内には250ペタバイトに増加する見通しだ。「それだけのデータを、世界中の幅広い研究目的にとって発見可能かつアクセス可能かつ利用可能にすることがわれわれの目標だ」と、アラバマ州ハンツヴィルにあるマーシャル・スペイス・フライト・センターの上席研究者ラフル・ラマチャンドラン氏は語っている。

 IBMは同提携のもと、レッド・ハット・オープンシフト(Red Hat OpenShift)やパイトーチ(PyTorch)といった多岐にわたる技術を活用する。パイトーチは、フェイスブックが開始したオープン・ソースの機械学習フレームワークで、2022年9月にパイトーチ財団(PyTorch Foundation)として独立して組織化された。

https://venturebeat.com/ai/nasa-partners-with-ibm-to-build-ai-foundation-models-to-advance-climate-science/