Monday, February 06, 2023 11:52 AM
グーグル・クラウドとアンスロピックの提携が意味すること
グーグル・クラウド(Google Cloud)は2月3日、人工知能新興企業アンスロピック(Anthropic、サンフランシスコ拠点)との新たな提携を発表した。
PRニューズワイヤーによると、人工知能の安全性と研究に照準するアンスロピックは同提携のもと、グーグル・クラウドをクラウド電算サービスの優先提供業者として採用し、信頼性と安定性の高い人工知能システムを構築するために必要な演算力を提供する。
両社はさらに、大規模の次世代TPU(tensor processing unit)およびGPU(graphics processing unit)クラスターを構築し、アンスロピックが最先端の人工知能システムの訓練と展開に活用することを計画している。
アンスロピックは、昨今非常に注目されているGPT-3(Generative Pre-trained Transformer 3)やRLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback)といった人工知能の大きな成果を支えた技術者集団によって2021年1月に設立された。
同社は2023年に入って以降、それらの技術を公開し始めた。その一つがクロード(Claude)と名付けられた言語モデル・アシスタントだ。同社は、クロードの展開について幅広い協力会社らを模索しており、今後数ヵ月に、クロードにアクセスできる環境を拡大させる計画だ。
グーグルがアンスロピックと提携したことは、マイクロソフトがオープンAI(Open Ai)に巨額を追加投資すると同時に、オープンAIの生成人工知能(Generative AI)技術をマイクロソフト製品群に統合する計画を進めていることに対抗するものだ。
チャットGPTに代表されるオープンAIの生成人工知能は、自分で考えて返答内容を創作する能力を可能にしたことで、一般利用者向け翻訳や各種の業務用にすでに革新をもたらし始めている。
グーグルは、チャットGPTの出現に危機感を覚えており、オープンAIと協業するマイクロソフトが検索や翻訳、質疑応答、作文、画像および音楽の創作、生産性アプリケーションといった幅広い分野で生成人工知能の技術を応用した次段階の製品群を普及させる可能性を注視している。
そのため、オープンAIと競合するアンスロピックと提携することで、マイクロソフト=オープンAI連合に対抗する次世代人工知能技術開発連合を形成するという思惑がグーグルとアンスロピックにはある。
https://www.prnewswire.com/news-releases/anthropic-forges-partnership-with-google-cloud-to-help-deliver-reliable-and-responsible-ai-301738512.html