Wednesday, March 22, 2023 11:54 AM

人工知能、高齢者の転倒予防で大きな効果

 高齢者施設を運営するメイプルウッド・シニア・リビング(Maplewood Senior Living)は3月21日、居住者たちの転倒予防を目的とした人工知能技術をニューヨーク市内の施設「インスパイア・カーネギー・ホール(Inspir Carnegie Hill)」に導入した結果、実際に予防効果を示したことを明らかにした。

 ビジネス・ワイヤーによると、「オーギ(AUGi)」と呼ばれるその人工知能技術は、メイプルウッドとインスパイレン(Inspiren)が共同開発したもので、メイプルウッドはそれを使うことで、認知能力が衰えている入居者らの転倒を約400回にわたって予防したと報告した。

 「同技術は過去6ヵ月間に当社の現場担当者らが使う重要なツールになった」と、メイプルウッドのグレゴリー・スミス社長兼CEOは話している。

 オーギは、認知能力低下を患っている入居者らをおもな対象に、介護環境についての可視性と洞察をもたらす。転倒リスクの高い入居者らの室内を監視し、転倒の可能性がある場合にそれを検出して通知することで、職員らがすばやく対応できるようにする。

 「転倒が実際に起こる前にスタッフに知らせる機能が特にすばらしい」と、メイプルウッドのブライアン・ガイザー最高臨床責任者は説明した。

 同技術は、壁に取り付ける自動検知器で構成される。自動検知器に内蔵された機械視認(コンピューター・ヴィジョン)機能を使って室内環境を継続的にモニターし、入居者とスタッフの行動を観察する。睡眠パターンや室内の全般的な動きをモニターしながらも、入居者たちのプライバシーを保護するよう設計されている。

 2022年9月の導入以来、オーギは33人の入居者をモニターし、入居者がベッドから起き上がろうとしているときやそのほかの状況を含め転倒可能性が検出されると通知し、駆けつけたスタッフのすばやい対応によって転倒を約400回防いだ。

 同技術の試験運用では、モニタリング対象の入居者らは、夜間の行動や動作の不自由といったリスク要因にもとづいて選ばれた。

 「今回の試験運用の最大の目的は、リスクがもっとも高い入居者たちの転倒を減らせるかどうかを検証することだった。6ヵ月の運用中に転倒が2回だけだったのは、きわめてすばらしい結果だ」とガイザー氏は述べた。

https://www.prnewswire.com/news-releases/inspr-carnegie-hill-using-machine-vision-ai-and-edge-computing-to-help-residents-stay-safe-301776426.html