Wednesday, September 06, 2023 6:43 AM

デンソー、EV時代に向け有利なポジションに

 電気自動車(EV)の導入に慎重だったトヨタはEV関連銘柄とは言い難いが、傘下のサプライヤー大手デンソーはトヨタのハイブリッド戦略の影響で、将来のEV時代に向けてより有利な立場にいる可能性がある。

 デンソーはトヨタグループ傘下で、トヨタ自動車が24%、グループ内の他企業が15%を出資している。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、一部のハイブリッド車(HV)部品はEVにも使われる。特にデンソーは自動車用インバーターの大手メーカーで、インバーターは電池からの直流電流を電気モーターで使われる交流電流に変換する装置。またHVに搭載されている電池監視システムやモータージェネレーター(MG)も、EVに採用される可能性がある。

 デンソーの2023年4〜6月期は、電動化システム部門の売り上げが前年同期比24%増となり、総売上高の約17%を占めた。

 デンソーはさらに、トヨタがついにEVラインナップの強化を決めたことでも恩恵を受ける可能性がある。トヨタは30年までに350万台のEVを販売するという目標を達成するため、68億ドル相当を投資する予定だ。デンソーは売り上げの約半分をトヨタ関連が占めているが、ホンダやフォードといったほかの大手自動車メーカーも顧客に持つため、業界全体のEV投資の増加からも後押しされる可能性が高い。

 デンソーにとってもう一つの注目分野は、車の「スマート化」を実現する部品だ。自動車メーカーが車により多くのセンサーやスクリーンを搭載するのに伴い売り上げは急増しており、安全システムやマルチメディア・システムを含むモビリティー・エレクトロニクス部門は4〜6月期売上高が前年同期比36%も増加した。

 一方、デンソーはガソリン車関連事業の縮小も進めている。燃料ポンプ事業は22年に売却したほか、現在はスパークプラグと排気ガスセンサー事業を同業の日本特殊陶業に売却する方向で交渉している。35年までには、パワートレインを中心とする内燃エンジン関連の収益を半減させる計画で、前四半期はパワートレイン・システムが売り上げの約22%を占めていた。