Wednesday, September 27, 2023 11:27 AM
SAP、独自の人工知能アシスタント「ジュール」を発表
業務用ソフトウェア大手のSAPは9月26日、独自の仮想執事(人工知能アシスタント)「ジュール(Joule)」を発表した。
ベンチャービート誌によると、ジュールは、SAPが提供している法人向けクラウド製品全体に統合され、SAPの各種のアプリケーションやプログラムと一緒に利用できる。
ジュールは、マイクロソフトのOSウィンドウズ11全体にわたって利用できる新たな生成人工知能機能「ウィンドウズ・コーパイロット(Windows Copilot)」と同様に、デスクトップやモバイル含むさまざまのプラットフォームで使うことができる。
SAPのアプリケーション開発プラットフォーム担当上席副社長バラット・サンドゥ氏はジュールについて、「IBMをはじめ信頼の置ける協力会社らの大規模言語モデルを組み合わせ、顧客会社らのデータをリアルタイムに統合することで向上させている」と説明した。
ジュールには、多言語で質問に答える機能やSAPの種々のサービスおよび第三者のデータにもとづいてソリューションを提案する機能が含まれている。SAPのソフトウェア・システムの利用会社らはそれによって、たとえば販売に関する問題点を特定したり、供給網に関する対応策を見つけたりする場合に価値を見いだせると期待される。
ジュールはさらに、質問内容の文脈を理解する。質問や問題を受けると、答えを単純に探すのではなく、SAPおよび第三者の関連するアプリケーションにアクセスしてデータを掘り下げ、利用者の質問内容の文脈に対応した回答を提示する。
SAPではこれまでにも2万5000社を超える顧客に人工知能機能を提供してきた。顧客らの求める信頼性や安全性、セキュリティーとプライバシーの水準を達成するために、「人工知能の基礎」を確立することに注力した、とSAPは説明している。ジュールはその結果、有害コンテントや差別的コンテント、不適切な応答を提示しないよう訓練されている。
ジュールは当面のあいだ、SAPサクセスファクターズ(SAP SuccessFactors)とSAPスタート(SAP Start)を介して利用会社らに提供され、最終的にはS/4ハナ(S/4HANA)といったクラウド製品に拡大される。
SAPは、人工知能技術の開発をめぐってマイクロソフトやグーグル、IBMと協力関係にある。SAPはまた、今夏には、生成人工知能基盤モデルを開発するコウヒアー(Cohere)とアンスローピック(Anthropic)、アレフ・アルファ(Aleph Alpha)という有力新興企業3社に投資した。
https://venturebeat.com/ai/sap-launches-its-own-enterprise-ai-assistant-meet-joule/