Monday, July 08, 2024 7:12 AM

欧州の共同研究、コバルト不使用のEV用電池開発

 欧州の自動車業界、研究機関、専門技術者など18のパートナーが参加し、コバルト不使用の電池開発を目指す共同プロジェクト「COBRA(CObalt-free Batteries for FutuRe Automotive Applications)」は、EV用に完全コバルトフリーなリチウムイオン電池システムを開発した。

 グリーンカー・コングレスによると、このシステムには、安全面、制御面、効率面における一連の革新技術が組み込まれている。COBRAプロジェクトには欧州連合(EU)欧州委員会が1200万ドルを共同出資し、システムの実証実験を行って4年間の計画を終了した。電池パックは軽量を目指して設計され、最新のセンサーやアルゴリズム、通信技術も取り入れられた。

 プロジェクトの主導的パートナーであるカタルーニャ・エネルギー研究所(IREC、スペイン)のルイス・トリラ上級研究員によると、最も複雑な課題は、加工木材や再生アルミニウムなどの材料で作られた実証用電池にすべての革新技術を統合することにあった。重量は他の電池より30%削減されているという。

 システムは96個のコバルトフリー・リチウムイオン電池で構成され、電池の状態をユーザーに知らせるための温度、変形、インピーダンスセンサーが搭載されており、圧力センサーとガス検知器で内部反応を検知し、常に動作を監視するための有益な情報を提供する。

 現在は、技術成熟度レベル(TRL)は6という段階だが、数年以内にはTRL9(実環境試験に成功したシステム)に到達可能で、2030年までには、最適な性能を備えた持続可能で効率的な電池が実現できると期待されている。