Thursday, December 12, 2024 6:06 AM

ステランティス、リチウム硫黄電池をゼータと共同開発へ

 ステランティスとリチウム硫黄電池開発のゼータ・エナジー(Zeta Energy、テキサス州)は、リチウムイオン電池に匹敵する体積エネルギー密度と高い重量エネルギー密度を持つ電気自動車(EV)用リチウム硫黄電池を共同で開発する契約を結んだ。

 オートモーティブ・ワールドによると、リチウム硫黄電池は、正極に廃棄物やメタンの副産物である硫黄や硫黄化合物を使い、負極にリチウムを使う。実現すれば現在のリチウムイオン電池と同等の電気エネルギーを引き出せると同時に電池パックの大幅な軽量化が可能になり、EVの航続距離延長、ハンドリングの改善、性能の向上につながる。

 また、リチウム硫黄電池は急速充電の速度を最大50%向上させる可能性があり、EVの所有がより便利になる。さらに電力量1キロワット時(kWh)当たりの価格が現在のリチウムイオン電池の半分以下になると予想されている。

 ステランティスとゼータが開発する電池は、廃棄物とメタンに含まれる硫黄を活用して造られ、既存のどの電池よりも製造工程の二酸化炭素(CO2)排出量が少なくなる。またゼータの電池技術は、既存のギガファクトリー(大規模工場)で製造できるように設計されており、欧州や北米で完全に地元の短いサプライチェーン(供給網)を活用できる。

 今回の提携には、生産前の開発と将来の生産計画が含まれ、プロジェクト完了後は2030年までにステランティスのEVにリチウム硫黄電池を搭載する予定。

 硫黄は入手しやすくコスト効率が高いため、生産費用とサプライチェーン・リスクを軽減できる。ゼータのリチウム硫黄電池は、廃棄物やメタン、さまざまな産業で副産物として出る未精製の硫黄を利用し、コバルト、グラファイト、マンガン、ニッケルを必要としない。

 75車種を超えるEVの提供を含むステランティスの戦略計画「デア・フォワード2030」では、高性能で手頃な価格のEVの開発が重要な柱。同社はすべての顧客に対応するため複数の電池技術を採用する。