Thursday, March 02, 2017 10:45 AM

米通商法301条で脅しか 紛争多発の恐れ、日本警戒

 米通商代表部(USTR)は1日、議会に提出した年次報告書で、世界貿易機関(WTO)の判断に今後縛られず、不公平な貿易相手国に制裁措置を科す通商法301条の発動を検討する方針を示した。トランプ政権は自国本位の通商政策を講じる姿勢を一層鮮明にした。こうした米国の「脅し」により各国との間で貿易紛争が多発しかねず、日本政府の一部に警戒する声が上がっている。

 報告書では、通商法301条によりUSTRは国際貿易ルールに違反した貿易相手国に対し、適切な対応を取ることができると説明。「厳格に執行すれば外国に対し、市場に適した政策を選ぶことを促す強力な手段になる」と強調した。

 こうした米政権の動きについて、国際貿易論が専門の一橋大学大学院の石川城太教授は「米国は相手国から譲歩を引き出すための脅しとして活用するとみられる」と指摘。さらに「米国が実際に制裁を発動した場合、WTOに紛争解決の審議が持ち込まれる可能性が高い。そこで米国に不利な判断が下されると、米国でWTO脱退の議論が起こるかもしれない」とみる。(共同)