Friday, November 07, 2025 6:16 AM
アンペア、コバルトフリー正極材のストラタスと提携
仏ルノー傘下のEV・ソフトウェア会社アンペア(Ampere)は、リチウムイオン電池の正極材料メーカー、ストラタス・マテリアルズ(Stratus Materials、ペンシルベニア州)と、コバルト不使用(コバルトフリー)正極材「LXMO」の共同開発契約を交わした。アンペアはLXMOの評価試験を行う。
エレクトライブによると、両社は共同声明で「ルノーグループのEVにLXMOを採用する可能性を検証する第一歩」と説明しており、EV用電池でこの素材の性能の高さを実証することに焦点を当てるという。
ストラタスのLXMOは「Lithium-X-Manganese Oxide(リチウムXマンガン酸化物)」の略で、リチウムマンガンリッチ(LMR)系正極材に分類される。LMR正極材は、高いエネルギー密度、低コスト、高い安全性などいくつかの特性によってリチウムイオン電池およびEV業界で関心を集め、20年以上にわたって世界中で開発が進められているが、いくつかの技術的課題のためまだ商業展開に至っていない。
アンペアはLXMOベースの電池を「EV向けの非常に有望な技術」と位置づけ、現行のニッケル・マンガン・コバルト(NMC)電池と同等またはそれ以上のエネルギー密度を持ちながらリン酸鉄リチウム(LFP)電池と同程度のコスト効率と耐久性を実現できるとみている。
現在EVで主流のNMCとLFP電池の両方の長所を兼ね備えることは、理論的には可能で、アンペアはこれを実証するためフランスのラルディに新設した電池技術研究施設で試験を行う予定。
ルノーは長年、EV用電池ではNMCだけを採用し、車種ごとに組成を変えて複数のNMC電池メーカーから調達していた。2024年からはLFP電池を正式に採用し、LFP電池を搭載した初の量産モデルは26年に発売する予定。その車種は小型車「トゥインゴ」の電動版になる可能性が高い。