Wednesday, April 26, 2017 10:30 AM

サイバー攻撃は株価に長く影響〜13年以降の株主損害524億ドル

 サイバー攻撃は企業の株価に恒久的な影響を与え、特に金融業界への打撃が大きいという調査結果を、カナダのITコンサルティング会社CGIと経済分析の英オックスフォード・エコノミクスが発表した。

 ロイター通信によると、2013年以降にサイバー攻撃を受けた世界企業のうち65社を分析した結果、訴訟または当局の調査に発展するような深刻なサイバー攻撃では、大量の記録が流出し、企業ブランドが傷つき、企業の株価が永続的に平均1.8%低下していることが分かった。

 特にFTSE100企業(ロンドン取引所)のような大企業への投資家が受ける打撃は大きく、こうした攻撃の後の含み損は平均1億2000万ポンドに上り、65社の株主が被った含み損の総額は420億ポンド(524億ドル)を上回るとみられる。

 CGI/オックスフォード調査では、オランダのセキュリティ会社ジェムアルトが発表するデータ流出の深刻度指標を参考に、問題発生期間における各企業の株価を同様の企業グループと比べることで、市場のほかの動きによる影響とサイバー攻撃による影響を区別した。3分の2の企業はサイバー攻撃の後に株価が低下し、最も大きな影響を受けたのは金融業で、通信会社が後に続いた。影響が少ないのは小売店、ホスピタリティ、旅行会社だった。

 悪意あるハッカーによるサイバーセキュリティ侵害は、最近は世界中の企業を対象にしており、13年は米小売り大手ターゲット、15年は英通信会社トークトーク(TalkTalk)などが被害に遭った。