Thursday, May 11, 2017 10:37 AM

文氏、日韓合意履行に慎重 安倍首相、着実な実施要求

 安倍晋三首相は11日午後、韓国の文在寅大統領と電話会談し、慰安婦問題に関する日韓合意の着実な履行を要求した。文氏は「国民の大多数が情緒的に受け入れられないのが現実だ」と返答し、慎重に対応する考えを伝達。合意の再交渉には直接の言及を避けた。両首脳は核・ミサイル開発継続など挑発行動を繰り返す北朝鮮に対処するため、緊密に連携していく方針で一致。未来志向の関係構築へ、できるだけ早期に直接会談を実施することでも合意した。

 文氏の就任後、両首脳による会談は初めて。北朝鮮問題で協力していく姿勢を鮮明にする一方、歴史問題で溝が深い実態が改めて浮かび上がった。文氏は選挙期間中、日韓合意の「無効化と再交渉」を公約に掲げており、両国の今後の懸案になるのは必至だ。萩生田光一官房副長官や韓国大統領府が会談内容を記者団に明らかにした。

 首相は大統領選での文氏の勝利に祝意を伝えた上で、2国間関係に関し「韓国は日本にとって戦略的な利益を共有する重要な隣国だ」と強調。文氏は「良い信頼関係を構築するため、両国のリーダーとして共に努力していきたい」と応じた。北朝鮮の非核化に向け、首相は「対話のための対話では意味がない。北朝鮮が真剣な意思と具体的な行動を示すことが重要だ」と指摘した。文氏は「問題意識は首相の思いと同じだ」と応じた。(共同)