Friday, May 12, 2017 10:56 AM

漱石の未公開手紙発見 入院中の心境つづる

 あきた文学資料館(秋田市)は12日、夏目漱石(1867〜1916)が秋田県出身の友人に宛てて書いた手紙が、これまで確認されていない新資料だと分かったと発表した。病気を患い入院中だった時期に、職を辞した友人を励ますような言葉が記されている。日本近代文学研究者の長島裕子さん(早稲田大非常勤講師)は「漱石全集にも未収録で、入院中の心境をさらりと記した貴重な資料」としている。

 同館によると、手紙は明治44(1911)年1月5日付で、漱石の「草枕」を掲載した雑誌「新小説」編集者を前年末に辞任した後藤宙外宛て。「天下の浪人程気楽なものは無し 小生は常に恒産を擁したる浪人たらん事をのみ切望致居候」と、「浪人」の身となった友を元気づけるように書いている。

 また「病院にての越年珍らしからぬ正月に候へども 経験としては是程珍らしき事無し」と、前年に吐血し入院先で新年を迎えた心境もつづった。(共同)