Friday, June 17, 2016 10:36 AM

携帯電話の位置情報、警察が入手する際に令状は不要

 携帯電話事業者(キャリヤー)の所有する個人の携帯電話位置情報を警察機関が入手したい場合に令状が必要かどうかをめぐり、バージニア州リッチモンドの第4巡回区連邦控訴裁はこのほど、「第三者(この場合は電話会社)にすでに開示された情報であるため、判例に基づく第三者理論に基づき政府当局は令状がなくても情報を入手できる」という判断を下した。判事による票決は賛成12、反対3。

 ロイター通信によると、この判断は2011年にメリーランド州ボルティモアで発生した数件の強盗事件に関して下された。捜査官がキャリヤーのスプリントから入手した221日分の携帯電話情報などを証拠に、2人の被告が有罪となった。携帯電話情報には約2万9000件の位置情報などが含まれ、令状なしで行われた情報の取得が「相当の合理的理由がない捜索・逮捕・押収の禁止」を保証した合衆国憲法修正4条に反するかどうかが争点になっていた。

 今回、賛成派の判事は「一般的に携帯電話ユーザーはこうしたデータを自主的にキャリヤーと共有していると認識しているため、位置情報の入手は不当な捜索には当たらない」と判断。一方の少数派は「ユーザーは、電話番号を入力するときや銀行に入金するときのようによく考えてから自分の位置情報を渡してはいない。位置情報は、従来の記録を対象とした第三者理論からは除外されるべき」との見解を示した。

 連邦最高裁は昨年、やはり政府に有利な判決が下された別の裁判で携帯電話の位置情報をめぐる初の下級審判決の審理を拒否。この4月には第6巡回区連邦控訴裁も、こうした情報の入手に令状は必要ないとの判断を下している。