Friday, June 09, 2017 12:32 PM
人材投資へ歳出拡大 財政黒字目標は形骸化
政府は9日の臨時閣議で、経済財政運営の指針「骨太方針」と成長戦略「未来投資戦略」を決定した。人材投資を新たな看板とし、教育無償化や待機児童対策など一段の歳出拡大につながる施策を並べた。2020年度までに基礎的財政収支を黒字化する目標は維持したが、達成のめどが立たず、形骸化が著しい。成長重視の健全化目標が今回から同列で併記され、18年度に予定する中間検証をにらんだ見直し議論が今後進む見通しだ。
2日に示した方針案からは薬価引き下げの一部表現が自民党などの反対で削られ、歳出抑制の要となる社会保障改革の難しさが浮き彫りになった。小中学校の夏休みの一部を地域ごとに春や秋に分散させる「キッズウイーク」については「教育現場に混乱が生じないよう対応を検討する」との文言が追加された。
日本経済は消費低迷が続き、少子高齢化に伴う働き手不足が深刻な課題となっている。骨太方針は「人材投資による生産性向上」を打開策の柱に据え、幼児教育と保育の早期無償化を打ち出した。財源は年内に結論を出すとし、歳出削減や増税、企業と働く人から保険料を集める「こども保険」が候補に挙がるが、借金による痛みの先送り論も自民党内にくすぶる。大学進学の負担軽減策と合わせ、財源確保が年末に向けた論点となる。(共同)
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