Wednesday, June 14, 2017 10:49 AM

「国益」か高値売却か 東芝半導体、思惑複雑

 東芝が進める半導体子会社「東芝メモリ」(東京)の売却交渉は最終局面が近づいている。重要技術の国内維持という「国益」にかなう日米連合か、高値売却が見込める米半導体大手ブロードコムか。国内産業政策を担う経済産業省や東芝の資金繰りを支える銀行の思惑も複雑に絡み、売却先選びは胸突き八丁にさしかかっている。

 東芝は売却で最低2兆円を確保し、負債が資産を上回る債務超過を解消する考えだ。買い手は、政府系ファンドの産業革新機構や日本政策投資銀行、米ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)による日米連合と、ブロードコムの2陣営に事実上絞られている。だが三重県四日市市の工場を東芝と共同運営する米ウエスタン・デジタル(WD)が第三者への売却に反対したことで曲折が続く。

 当初は日米連合が最有力とみられたが、国内大手企業が出資を軒並み断るなど、枠組みづくりや買収額の積み上げが進んでいない。工場運営には毎年数千億円の投資も必要で、自社株主への説明が難しいためだ。(共同)