Friday, June 23, 2017 10:47 AM

弥生時代4例目のすずり 倭人が文書作成に使う?

 福岡県筑前町の中原遺跡で、竪穴住居跡から見つかった石片が弥生時代後半のすずりとみられることが、23日分かった。柳田康雄国学院大客員教授(考古学)が桜井市纒向学研究センター(奈良県)の研究紀要「纒向学研究」で報告した。弥生時代のすずりは松江市の田和山遺跡で1個、福岡県糸島市の三雲・井原遺跡で2個出土しており、4例目。

 三雲・井原遺跡は魏志倭人伝に登場する伊都国の都とされる。玄界灘沿岸で大陸との交流が盛んだったことから、文字を扱う渡来人が外交を担っていたとの見方もあるが、都から離れ渡来人との関わりが薄かったとみられる集落でも出土したことで、柳田氏は「伊都国から文字文化が伝わり、倭人がすずりを使って文書を作り、外交もしていた可能性がある」としている。

 石片は、最大で長さ9.4センチ、最大幅7.4センチ、厚さ最大約0.7センチ。重さは66グラムで四角形の板状。柳田氏によると、中央部に擦り跡とみられる浅いくぼみがあることから、破片ではなく、ほぼ完全な形のすずりとみている。墨の付着は確認できなかった。(共同)