Monday, August 21, 2017 6:03 PM

傷ついた神経、治す物質 難病治療に期待、大阪大

 手足のしびれや視力低下などを起こす難病「多発性硬化症(MS)」などで傷ついた脳や脊髄の神経の一部が、膵臓から分泌される物質で修復されることを大阪大などの研究グループが発見し、米医学誌が22日、発表した。

 MSは免疫異常により神経線維を覆っている「髄鞘」などが傷つくことで、神経の情報伝達が阻害され、発症するとされる。大阪大大学院の村松里衣子准教授(分子神経科学)は「MSの治療は免疫抑制薬の投与が主流だが、傷ついた髄鞘を修復させる薬の開発につながると期待できる」としている。

 グループは、膵臓から分泌され、血液の中に含まれる「FGF21」と呼ばれるタンパク質に着目し、正常なマウスと、FGF21を作り出せなくしたマウスを比較。それぞれ、髄鞘を含む神経を傷つけて後ろ足の機能を低下させ、2週間後、回復度合いを見るため細いはしごの上を歩かせると、FGF21がないマウスの方が足を踏み外す回数が約1割多かった。(共同)