Friday, September 15, 2017 1:13 PM

周五郎の未発表作公開へ 未完の「註文の婿」横浜で

 作家の山本周五郎(1903〜67年)による未完の小説「註文の婿」の草稿が、横浜市の神奈川近代文学館に寄贈されていたことが15日分かった。これまで存在自体が知られていなかった未発表作。晩年に完成させることが難しいと考え、手放した可能性がある。同館は30日から開催する「没後50年 山本周五郎展」で草稿を公開する。

 同館によると、雑誌「小説新潮」の担当編集者だった佐々木信雄さん(83)が65年ごろ、周五郎から「ノブちゃん、これ、あげるよ」とだけ告げられ、もらい受けた。完成させる時間と体力がなくなったことを言外に示唆されたと、佐々木さんは後年になって理解したという。

 2015年12月に佐々木さんから寄贈を受けた同館などが調べ、既刊で類似の作品がないため未発表作と判明。遺族から寄贈された周五郎自筆の作品目録にも記載がなかった。執筆時期は不明。(共同)