Thursday, September 28, 2017 11:37 AM

AIとロボットは労働者に恩恵〜英労働組合会議

 英国労働組合会議(TUC=Trade Union Congress)は、ロボティクスと人工知能(AI)に関する報告書を発表し、労働者の生活への混乱を軽減し労働者に利益を与える機会を拡大するために協力しなければならないとのメッセージを政府や企業、労働組合に発信した。

 エクスプレス・ニュースラインによると、TUCの調べでは、1950年代には労働者がほぼ3人に1人の割合で製造業に従事し、専門職や技術系サービス分野の労働者は12人に1人と少なかった。その割合は2016年までに逆転したが、業務の自動化によって失われた製造関連雇用に代わる雇用はまだ生まれておらず、製造分野の賃金は全国平均より10%安い状態が続いている。

 TUCはそれらを理解した上で、職場でのロボティクス普及による経済的恩恵を、英国年金の受給開始年齢引き上げ計画の撤回に生かすべきと主張している。

 TUCの調査報告書によると、先進技術は医療診断や気候変動対策といったさまざまの分野で人の生活に多大な利益をもたらす可能性がある。その一方、「経済のデジタル化」によって労働者が従来よりストレスの少ない職場で、より長く働くことが可能になると考えられる。

 TCUのフランシス・オグレディ書記長は「英国の生産性は過去10年間上昇しておらず、われわれは新技術がもたらす経済的機会を最大限に生かす必要がある」と指摘しながら、「この富からだれが利益を得るのか、また労働者が公正な利益の分配を受けるにはどうすればいいかについて議論する必要がある」と述べた。

 AIとロボティクスが雇用機会に与える影響は今も議論が分かれるが、最大で3分の1の仕事が自動化によって失われると同時に、新しい雇用も生まれるという予想がある。

 オグレディ書記長は、AI関連の生産性向上によって英国内総生産(GDP)は2030年までに10%増えるというプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の分析結果を引用し、AIをはじめとする先進技術は全体的には労働者に利益をもたらすという見解を示した。